【現地レポート⑩ / 女子準決勝】ファイナルには届かなかったけれども ~北九州市立折尾中学校&四日市メリノール学院 ~
2024年1月7日
「京王 Jr.ウインターカップ2023-24」女子のファイナリストが決まりました。相模女子大学中学部 (JBA推薦・神奈川) と京都精華学園中学校 (京都) です。
準決勝の第 1 試合、先に決勝戦へのチケットを手に入れた相模女子大学中学部ですが、前半を終えた時点では15点のビハインドを背負っていました。しかしハーフタイムでリバウンドとディフェンスを修正すると、第 4 クォーターで逆転に成功します。その後追いつかれてオーバータイムにもつれ込みましたが、最後は残り30秒、#4 竹内みや選手の 3 ポイントシュートで勝利を手繰り寄せました。
第 2 試合で勝利した京都精華学園は、前半こそ競り合う展開になりましたが第 3 クォーターの立ち上がりに抜け出すと、そのクォーターの失点を 3 点に抑え、得点は21。高さを生かしながらも、それ一辺倒にならないバスケットで一気に突き放して、4 大会連続のファイナル進出を決めました。
敗れはしたものの、北九州市立折尾中学校 (福岡) も四日市メリノール学院 (三重) も、素晴らしいプレーを随所に見せてくれました。
(写真は北九州市立折尾中学校)
相模女子大学中学部に 72-73 で敗れた北九州市立折尾中学校ですが、伝統ともいうべきペイントエリア内を軸にした徹底したオフェンスは見事でした。
「主力メンバーは、1人を除いてミニバス時代には地区大会でも負けるような子たちばかりでした。身長も 2 年前に出場したときのように飛び抜けて高さのある子たちではなかったのですが、本当にまじめな学年で、みんなで頑張ろうというチームでした。準決勝まで勝ち上がるまで、よく成長したなと思っています」
チームを率いる橋口優子ヘッドコーチは選手たちをそう称えました。
京都精華学園中学校に 48-82 で敗れた四日市メリノール学院も、前半はプランどおりのゲームを展開していました。後半に突き放されますが、その戦いぶりは中学生らしいものでした。
「昨年から試合に出ている選手は 2 人だったので、そう思うとキャプテンの #4 中嶋とわがよく育ってくれたなと。今年のチームは彼女のチームでもあったし、精神的支柱でもあったし、あの子のキャプテンシーでチームが大きく成長してくれたんじゃないかと思います」
四日市メリノール学院の稲垣愛ヘッドコーチもまた、キャプテンの成長を通じて、チーム全体の成長を認めます。
(写真は四日市メリノール学院 #4 中嶋とわ)
そしてこうも言います。
「今年の 3 年生はけっして身体能力が高いわけではないのですが、そんな子たちが、こんなことまでできるようになるのかと、私自身が彼女たちに成長させてもらいました。『こんなふうに考えたら、子どもたちはこんなことができるようになるんだ』と (コーチとして) 考える力を与えてもらったように思います。歴代の先輩たちのようなスーパースターがいなくても、普通の子たちが一生懸命バスケをやっても、何かどこかでチャンスがあるんじゃないか。それが日本の未来につながると思って、この子たちとバスケットをやっていたんです」
選手たちの成長は、指導者をも成長させる力があるというわけです。
北九州市立折尾中学校も四日市メリノール学院も、大会前に思い描いていた結果は得られませんでした。しかし選手にとってもコーチにとっても、今日に至るまでの日々はけっして無駄にはなりません。中学バスケでの負けは、“ 終わり ” を意味するものではなく、“ 始まり ” を意味するのです。
(写真は四日市メリノール学院)
そんな両チームの思いを背負った相模女子大学中学部と京都精華学園中学校が明日、どんなファイナルを見せてくれるのでしょうか。
両チームは前回大会の準決勝でも対戦していて、そのときは京都精華学園中学校 (当時は「京都精華 CLUB」として出場) が勝っています。昨夏の「全国中学校バスケットボール大会」でも対戦し、そのときも京都精華学園中学校が勝ちました。
相模女子大学中学部の「3 度目の正直」か、京都精華学園中学校の「2 度あることは 3 度ある」か。
女子のファイナルは明日 1 月 8 日(月・祝)の10時にティップオフ予定です。