【現地レポート④】2つの結果を糧にして ~三股 RED WINDS~
2024年1月5日
抽選で組み合わせが決定するトーナメント形式の大会では仕方のないことですが、思わず「もったいない」、「メインコートで見たかった」と言いたくなる対戦が、下位回戦で起こるものです。
「京王 Jr.ウインターカップ2023-24」の 2 日目、女子 2 回戦の樟蔭中学校 (大阪)と三股 RED WINGS (宮崎) の対戦もそのひとつです。
樟蔭中学校は、2023年夏に香川県でおこなわれた「全国中学校バスケットボール大会 (以下、全中)」でベスト16に終わっていますが、敗れたのは強豪・四日市メリノール学院中学でした。それもオーバータイムでの 2 点差。四日市メリノール学院中学はその後、準決勝まで勝ち進んでいますから、樟蔭中学校もそれと同等の力があったと言っても過言ではありません。
その四日市メリノール学院中学を準決勝で破り、全中の決勝戦まで勝ち進んだのが三股町立三股中学校、つまり三股 RED WINGS の母体となるチームでした。
それだけに注目の集まったカードは、序盤から三股 RED WINGS が抜け出します。第 1 クォーターを終了したところで 30-15 とダブルスコアでリードします。チームを率いる横山祥子ヘッドコーチも「出だしは集中していてよかった」と振り返ります。
しかし第 2 クォーターに入って樟蔭中学校が落ち着きを取り戻し、攻守においてペースを握り始めると、横山ヘッドコーチがポイントに挙げていた第 3 クォーター、さらに樟蔭中学校が勢いを増していきます。
「第 3 クォーターに入る前に『ここからだ』という話はしたのですが、底力のある樟蔭中学校がジリジリと追い上げてきたときに、彼女たち (三股 RED WINGS の選手たち) が迷い始めてしまいました」
迷いはプレーの精度を欠く要因になります。立ち上がりのようなノビノビとしたプレーが見えなくなり、シュートも縮こまってしまいます。得点が伸びなくなり、逆にリズムをつかんだ樟蔭中学校に引き離され、66-87 で敗れました。
それでも夏以降も、彼女たちが懸命にバスケットボールに取り組んできた成果は随所に見られました。特にエースの 2 人―― #4 小玉愛莉選手と #5 蔵満莉緒選手 ――は、その存在感をしっかり示せていました。
一方で夏の結果が、彼女たちにとって「見えないプレッシャーになっていた」とも横山ヘッドコーチは認めます。
「彼女たちはチームのエースとしての自覚は持ってくれているんですけれど、夏に準優勝という結果が出たことによって、見えないプレッシャーであったり、2 回戦で負けるわけにはいかないといった背負うものが強くあったんだと思います。だからうまくいかなくなったときの立て直しにすごく時間がかかってしまって、その間に崩れていきました」
結果を出すとは、それほどまでに難しいものです。それは、結果を目指している過程だけにあるのではなく、その結果を得た後にもついて回るからです。三股 RED WINGS の選手たちは夏の結果を背負いながら、「京王 Jr.ウインターカップ2023-24」を戦い、敗退することになりました。
しかし彼女たちは未来があります。これから高校バスケットへと進む 3 年生たちに横山ヘッドコーチは厳しくも温かなエールを送ります。
「今のままでは厳しいと思います。私たちはチームで何とか勝ってきたので、『チームで勝てるんだ』と学んだ分、高校では個人技を、一人ひとりが得点を取れる、あるいはヘルプディフェンスをされなくても相手のエースを一人で守れるような技術を磨いていってほしいと思います」
夏の嬉しい結果と、冬の悔しい結果。2 つの結果を糧にして、三股 RED WINGS の選手たちがどんな選手になっていくのか。彼女たちの今後の成長に期待したいところです。